最近、ピアスやイヤリングの素材について、金属アレルギー対応のものをお探しのお客様が増え、私共もサージカルステンレスなどの素材を積極的に取り入れています。
そんな中、あるお客様からふと「しょせんアクセサリーはおもちゃだから」という言葉をいただき、改めて「私たちが作っているアクセサリーの価値とは何か?」を深く考えました。
結論からお伝えします。
私たちが、真鍮や合金などの素材を使って作り出すアクセサリーは、決して「おもちゃ」ではありません。
そこには、明確な役割と、作り手の確かな想いが込められています。
アクセサリーの二つのカテゴリー
「ジュエリー」と「ファッションアクセサリー」アクセサリーは、使われる素材や目的によって大きく二つに分類されます。
(1) ジュエリー(Jewelry)金 $K$ 、プラチナ $Pt$ 、本物の宝石など、貴金属や天然の貴重な素材を主に使用します。
価値の焦点:
資産性、耐久性、格式。
主な役割:
結婚や記念日などの特別な場面で身に着ける、「価値を所有する」ためのアイテムです。
(2) ファッションアクセサリー(Costume/Fashion Jewelry)真鍮、合金、サージカルステンレス、ガラス、樹脂など、加工しやすく、デザインの柔軟性が高い素材を主に使用します。
価値の焦点:
デザイン性、流行への対応、気軽に楽しめる価格帯。
主な役割:
日々のファッションを完成させ、「おしゃれを楽しむ」ためのアイテムです。
私たちが作るアクセサリーの多くは、この「ファッションアクセサリー」という分野に属します。
真鍮・合金製のアクセサリーが持つ「本質的な価値」。
真鍮や合金といった素材で作られたアクセサリーは、ジュエリーに比べて価値が劣るのでしょうか。
私たちはそうは思いません。
真鍮や合金といった素材を使うからこそ実現できる、ファッションアクセサリーならではの価値があるからです。
① トレンドを形にするデザインの柔軟性真鍮や合金は、貴金属に比べて加工が非常にしやすいという特徴があります。
これにより、流行の形や、私たちがひらめいた複雑で大胆なデザインをスピーディーに形にすることができます。
高価なジュエリーでは挑戦しにくい、遊び心やボリューム感も自由に表現できるのです。
② 日常を彩る「アート」としての役割私たちのアクセサリーは、お客様の「今日の気分を上げる」「なりたい自分を表現する」ための小さなアート作品です。
高価な素材でなくても、デザイン、色、そして作り手の丁寧な手仕事が加わることで、身に着ける人に自信と喜びを与えてくれます。
③ 手仕事の温かさという付加価値そして何より、私たちのアクセサリーには、作り手の想いと時間」が込められています。
この世に一つしかない組み合わせ、手作業だからこそ生まれる温かい風合いは、どんな高価な既製品にもない、かけがえのない価値です。
素材の違いは「優劣」ではなく「役割」の違い
サージカルステンレスやチタンは、金属アレルギーでお悩みの方に「安心」と「長期間の美しさ」を提供する、優れた素材です。
そして、真鍮や合金は、「ファッションを自由に楽しむ」という喜びを提供する素材です。
どちらの素材も、お客様の「美しくありたい」「おしゃれを楽しみたい」という想いに応えるための、大切な役割を担っています。
私たちは、今後もお客様の安心とファッションの楽しさの両方にお応えできるよう、素材の選択肢を広げ、一点一点心を込めて制作してまいります。
アクセサリーは、あなたの毎日を豊かにする大切なファッションアイテムです。どうぞ、ご安心してお選びください。
[R工房]
[追記]
補足:寿命の短さは「愛着と変化」として捉える
「貴金属は永久的だけど、真鍮はすぐに劣化するのでは?」という疑問をお持ちのお客様もいらっしゃるかもしれません。
確かに、真鍮や合金は汗や湿気で酸化しやすい性質があります。
しかし、私たちはこの特性を「短所」としてではなく、「ファッションを楽しむための特性」として捉えています。
貴金属が「変わらない美しさ」である一方、真鍮は、使い込むほどに色が深まり、お客様だけのアンティークな風合いに変化していく「経年変化」を楽しむ素材です。
また、頻繁にお手入れをすることで、アクセサリーは長く輝きを保つことができます。
この「ひと手間」が、アクセサリーを『流行りもの』から『愛用品』へと変えてくれるのです。
私たちは、アクセサリーと共に過ごす時間そのものを楽しんでいただきたいと考えています。
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