✍️工房の隅で、私は何を創っているのだろう

最近、工房で手を動かしながら、ふと考えることがあります。

本来の私の理想は、芸術家のように、本当に美しいと思える作品に何日も費やし、その価値を理解してくださる方へお届けすること。

お客様のオーダーには、プロの作家として最高の技術で応え、身につけた人が心から「幸せだ」と感じられるような美しいものを生み出すこと。

そんな優雅で、丁寧な創作活動を続けることでした。

しかし…

追い立てられる日々の中で


現実は、正直、全く違います。


ショップを続けるには、毎月の売上を立てなければならない。


だから、売れるかどうかも分からない、手間のかかる作品にコストも時間もかけられません。

気づけば、手の込んだ一点物ではなく、市場のニーズに応える「売れ筋の型」を、せっせと量産しています。


「いついつまでに何十個」という大量のご注文は、経営の面では本当にありがたい。

感謝しかありません。

ノベルティや、おそらくは転売用だろう安価なアクセサリーの大量注文も、貴重な収入源です。

けれど、納期に間に合わせるために、一つ一つ丁寧に仕上げたいという思いを抑え、雑な工法になっていく自分もいる。


「なんだかな…」


と、思わず呟いてしまう。


私のコンセプトは、

「身につけた人が、着飾って幸せになれる、美しい作品を作ること」

のはずなのに。

理想と現実の狭間で

この大量生産の作業は、私のショップを存続させるための、いわば「燃料」です。

それを頭では理解しています。

この「燃料」がなければ、私が本当に作りたい、芸術的な作品を生み出す時間も、材料を吟味する余裕も生まれない。

けれど、心はなかなか割り切れません。


自分のブランドの根幹から、どんどん離れていっているような、宙ぶらりんな感覚に悩まされます。

作家としての意欲が、まるで干からびていくよう。


でも、諦めたくはない。


この大量の仕事の合間に、たった一つでも良いから、心ゆくまで手間をかけた「私のための作品」を生み出す時間を、意識的に作る必要があると痛感しています。

まずは、この目の前にある仕事(大量注文)を、「ショップを存続させるプロの仕事」として、徹底的に効率化し、システム化する技術を磨くこと。

それを達成した先に、ようやく本来私が創るべき「美しい作品」に取り組む「心のスペース」が生まれる気がしています。

今日も、目の前の小さなパーツと向き合いながら、工房の隅で、静かに理想を追いかけ続ける自分を、どうか見失いませんように…

R工房

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